命令

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街灯の上から叫ぶ。 「あぁ、間違えました。 貴族は、犯罪者の家柄でしたね」 きっと今の私はとても冷めた目をしていると思う。 大っ嫌いな貴族が目の前にいる。 それだけで心がこんなに冷たくなるとは思わなかった。 「相当貴族を恨んでいるようだな」 「まあね。 じゃあ、そろそろ失礼します」 礼儀として、一礼してからその場を去った。 「・・・迷った」 この町は迷路か! やっぱり、1人で出歩くものじゃないな。 ・・・1人・・・か。 私の家では、父様が絶対。 母様も私も何も言えない。 私はいつも1人だった。 1人は・・・怖い。 気付けば、目から涙が出ていた。 どうして涙が・・・? 別に悲しくもないのに・・・。 と、その時後ろから手が伸びてきて、私の腕を掴んだ。 私はびっくりして振り返る。 そこにいたのは先ほどの貴族。 「泣いているのか?」 「別に・・・。 それより、手離してください」 「何を言っている? 君は、このまま私の屋敷に向かうのだ」 「なっ・・・。 私は行きません!」 「君に拒否権などありはしない」
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