僕の願い事は、

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「ほれ」 「おお、なんだこれ。木の棒が2本ついておる」 「真ん中で折るんだよーーほら」 「……」 「ん、どした?」 「昨日のより、細いの」 「財布を忘れてきてな」 「銭ならここにあるんだがの」 「賽銭箱は駄目だろう」 「ふふ。所詮、通りすがりが間違えて置いていっただけのものじゃ。ここには神もおらんのに」 「お前は違うのか?」 「私? 私は……」 「……?」 「私は騙されたのよ、神にな。このお面をつければ、神と同等の力を得ると言われ、父も母も捨ててこの身を捧げたら、入れ替わっておったのよ。いわゆるお留守番じゃな。神は私の姿を使って、今頃なにをしておるんじゃろうなぁ」 「そうなのか。僕はいつも、お参りするつもりで来てたのにな」 「願いも叶わず、がっかりしたか?」 「いいや、してないよ」 「なぜ?」 「こうしていつも近くにいれば……叶うかも知れないからな」 「ふうん……?」 鈍感な奴だにゃ。 image=501252003.jpg
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