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『遅いぞ、人間!』
「そう毎日は来れねーよ」
俺はいつもの社に向かって石段を登る
『見てみよ!これが制服というものじゃろ?どうじゃ、似合うじゃろ!』
そう言って人間に化けた妖怪白狐はニヤニヤと笑って見せる。
「その狐の面はどうしたんだ?」
『うむ、これか?人間のおなごは“髪留め”というものをすると聞いたのでな』
「お前ばかだな」
『なんじゃと!うわっ何をする!』
「髪はこうやって結ぶんだよ。
ったく、んなことも知らねーのか?」
『うるさい』
「怒ったか?」
『ふんっ、お主などもう知らぬ』
そっぽを向いて猫妖怪と遊び始める
「悪かったって。ほら」
微かに視線をこちらにむける
『おっ!これはお主が持ってきた雑誌とやらに載っておった“アイス”というものか!』
「お前、物欲しそうに見てたからな」
『嬉しいのぉ、美味しいのぉ』
さっきとは打って変わり、嬉しそうに頬張る
俺たちのそんな日常は今日も続く
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