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アイスを半分こ
彼女は狐耳と立派な尻尾を持っている。
獣界という世界の住人で、神社の跡取り息子である俺の花嫁としてやってきた。そのままとい訳にはいかないので普段は女子高生のふりをしている。
物珍しさからか、俺は彼女に振り回された。初めの頃は迷惑でしかなかったが、目を輝かせて楽しそうにしている姿を見ていたら、そんな日々も悪くないと思うようになっていた。
コンビニで買うソーダ味のアイスは彼女のお気に入りだ。
二本の棒があり、半分に分け合う事ができる。
木陰の階段に座り、彼女へとアイスを渡す。
「いつもこれを選ぶよな」
「味も好きじゃが、わらわはな、お主と分け合えるのが嬉しいんじゃ!」
と、ニッコリ笑う。
なんたる不意打ち。
胸が高鳴り、ポロリと口からアイスが石畳の上へと落ちる。
勿体ないのうというと彼女に言われ、俺は熱くなる顔を見られぬように顔を背けた。
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