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「俺、リア充を爆破できるんだ。」
俺は、スカイプからの告白に飲んでいたコーヒーを吹いた。
危うくパソコンにかかるところだった。吹いたものは、マグカップにリバース。
「ちょっ、冗談でしょw」
前々から、おかしなやつだとは思っていた。ついに、キテしまったか、こいつ。
俺達は、声優の早川ことはちゃんのファンで、SNSで意気投合し、たまに
こうしてスカイプする仲になった、ネット友達である。
このリア充を爆破できると告白してきた男は、もうすぐ30のビプ男(びぷお)。
しょっちゅう2ちゃんねるで過激な発言をして叩かれてるやつだ。
ことはちゃんのファンでなければ、なるべくお近づきになりたくない危ないやつだ。
「はいはいはい、よかったね。」
冷静沈着で冷淡な声が聞こえてきた。
もう一人の仲間、ナナシ。
ビプ男の話は、はなから与太話とは思うが、こいつの反応はさらに冷淡だ。
ナナシは洞察力がするどく、だいたいこっちが何を考えているのか
見抜くことができる。推理小説好きなのかと、思いきや、推理小説は
まったく読まないと言う。何故なら、すべてが読めるからと言う。
頭がいいのは、わかるが冷淡で鼻持ちなら無い。
「俺のことを鼻持ちならない、って思ってるだろ。」
そうズバリと言い当てられて、ドキっとする場面もあった。
不思議な男だ。年齢は、肌の感じからまだ10代だろう。
細面で、わりかしイケメン。ただし、オタク独特の雰囲気は醸し出している。
そして、俺のハンドルネームはコドク。
本当に孤独だ。はっきり言って、ネット友以外、ほとんど友人がいない。
だけど、俺にはちょっとした秘密があった。
これは誰にも言えない秘密だし、知ったところでたぶん信じてもらえない。
「ホントなんだって。お前らが信じないと思って。
動画を用意しました~。」
そう言うと、ビプ男はなにやらごそごそと用意を始めた。
携帯で撮ったのだろう。画質が悪い。
しかも夕方なのでさらに、画質が悪い。
「さて、今から、あそこでイチャついてる、リア充男を
爆破したいと思います。」
どっきり番組のように声を潜めて、公園ベンチでイチャつくカップルを
盗撮しているようだ。カップルから自分にカメラを戻し、どこかに
携帯を固定して、自分を撮っている。
俺は、目がハテナ?になった。なんで自分を撮る?
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