第一話 リア充を爆破できる男

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「俺、リア充を爆破できるんだ。」 俺は、スカイプからの告白に飲んでいたコーヒーを吹いた。 危うくパソコンにかかるところだった。吹いたものは、マグカップにリバース。 「ちょっ、冗談でしょw」 前々から、おかしなやつだとは思っていた。ついに、キテしまったか、こいつ。 俺達は、声優の早川ことはちゃんのファンで、SNSで意気投合し、たまに こうしてスカイプする仲になった、ネット友達である。 このリア充を爆破できると告白してきた男は、もうすぐ30のビプ男(びぷお)。 しょっちゅう2ちゃんねるで過激な発言をして叩かれてるやつだ。 ことはちゃんのファンでなければ、なるべくお近づきになりたくない危ないやつだ。 「はいはいはい、よかったね。」 冷静沈着で冷淡な声が聞こえてきた。 もう一人の仲間、ナナシ。 ビプ男の話は、はなから与太話とは思うが、こいつの反応はさらに冷淡だ。 ナナシは洞察力がするどく、だいたいこっちが何を考えているのか 見抜くことができる。推理小説好きなのかと、思いきや、推理小説は まったく読まないと言う。何故なら、すべてが読めるからと言う。 頭がいいのは、わかるが冷淡で鼻持ちなら無い。 「俺のことを鼻持ちならない、って思ってるだろ。」 そうズバリと言い当てられて、ドキっとする場面もあった。 不思議な男だ。年齢は、肌の感じからまだ10代だろう。 細面で、わりかしイケメン。ただし、オタク独特の雰囲気は醸し出している。 そして、俺のハンドルネームはコドク。 本当に孤独だ。はっきり言って、ネット友以外、ほとんど友人がいない。 だけど、俺にはちょっとした秘密があった。 これは誰にも言えない秘密だし、知ったところでたぶん信じてもらえない。 「ホントなんだって。お前らが信じないと思って。 動画を用意しました~。」 そう言うと、ビプ男はなにやらごそごそと用意を始めた。 携帯で撮ったのだろう。画質が悪い。 しかも夕方なのでさらに、画質が悪い。 「さて、今から、あそこでイチャついてる、リア充男を 爆破したいと思います。」 どっきり番組のように声を潜めて、公園ベンチでイチャつくカップルを 盗撮しているようだ。カップルから自分にカメラを戻し、どこかに 携帯を固定して、自分を撮っている。 俺は、目がハテナ?になった。なんで自分を撮る?
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