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「信者内だけでやればいいじゃないか!どうして一般の人間をさらうんだ。」
ビプ男の言うことはもっともだ。
「信者という言われ方はまるでカルトのようですね。うちの団体では研究員と呼んでいます。もちろん、研究員の方達にも被検体になってもらいましたが、思うような成果が出なかったのです。この研究は失敗かなと私が思い始めた頃、監視していたあなたがたに成果を見出した。貴方達だけが敵性を示し、この研究の成果を確信しました。私どもの息子のユウヤは無限の可能性を秘めています。それゆえに、ユウヤは才能ゆえ、この世に生まれてつらい思いもしてきました。人と違うというだけで人は排除して来ます。でもどうでしょう?皆が同じく、ユウヤのような能力を持っていれば?皆が進化した人間になればきっとこういう醜い嫉妬心は起こらないでしょう?だから私は能力のコピーができないかと考えたのです。人にも、コンピューターのように能力がインストールされればこれほど素晴らしいことはないでしょう。人は常に進化すべきだと私は考えているのです。」
「なるほど。それで敵性のあった俺たちを実験台にしようってわけか。」
ナナシが答えた。
「いろいろ調べさせていただきますよ。何故君達だけが能力に目覚めたのかを。そして、あなたがたにはユウヤの能力を少しずつコピーさせていただきます。一緒に人類の進化のため、協力していただきますよ。」
三戸部は有無を言わせない強い言葉で俺たちを押さえつけようとする。
「ユウヤがかわいそうだ。」
俺がそう言うと、三戸部の表情が変わるのがわかった。
「あなたがたに、ユウヤの何がわかる。ユウヤと私達の何がわかるというのだ。何も知らないくせに。平々凡々と人生を過ごしてきたあなたたちに、ユウヤの何がわかると言うのですか。あなたたちが、自分の能力を隠して来た理由と同じでしょう?違いますか?」
俺はここ4年間の苦悩を思い出し、何も言えなくなってしまった。
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