海野渚の楽しい一日のはじまり

5/9
前へ
/222ページ
次へ
隣を歩く空を見てはニヤけてしまっていると、彼は汚物を見るような目を向けてきた。 「なんだよ、朝から気持ち悪い。気分悪くなるからあっち向いてくれない?」 「なっ……酷い!!」 思わず立ち止まってしまうも、空はスタスタと先に行く。 「なにやっているんだよ、早くしろよ。……どーせ今日も奴のことを待ち伏せするんだろ?」 足を止め手招きする空に、どうしても口元が緩んでしまう。 「もちろん!」 なんだかんだ言いつつ空は良い兄だ。 走って駆け寄り、げんなり顔の空を引きつれて学校へと向かった。 「それじゃ空、またね」 「あぁ。今日もヘマすんなよな」 学校に到着し、二階に着くと憎まれ口を叩いた空と別れる。 私のクラスは三階にあり、空のクラスは二階にあるのだ。 階段を上りながらもつい考えてしまうのは、今朝も会えなかった日向くんのこと。 いつもあの時間に通るはずなんだけどな。 今日は日向くん、寝坊しちゃったのかな? そんなことを考えながら階段を上がっていくと見えてきた教室。 廊下の突き当たりにあり、後ろのドアから入った。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

204人が本棚に入れています
本棚に追加