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隣を歩く空を見てはニヤけてしまっていると、彼は汚物を見るような目を向けてきた。
「なんだよ、朝から気持ち悪い。気分悪くなるからあっち向いてくれない?」
「なっ……酷い!!」
思わず立ち止まってしまうも、空はスタスタと先に行く。
「なにやっているんだよ、早くしろよ。……どーせ今日も奴のことを待ち伏せするんだろ?」
足を止め手招きする空に、どうしても口元が緩んでしまう。
「もちろん!」
なんだかんだ言いつつ空は良い兄だ。
走って駆け寄り、げんなり顔の空を引きつれて学校へと向かった。
「それじゃ空、またね」
「あぁ。今日もヘマすんなよな」
学校に到着し、二階に着くと憎まれ口を叩いた空と別れる。
私のクラスは三階にあり、空のクラスは二階にあるのだ。
階段を上りながらもつい考えてしまうのは、今朝も会えなかった日向くんのこと。
いつもあの時間に通るはずなんだけどな。
今日は日向くん、寝坊しちゃったのかな?
そんなことを考えながら階段を上がっていくと見えてきた教室。
廊下の突き当たりにあり、後ろのドアから入った。
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