海野渚の楽しい一日のはじまり

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「あっ、おはよう渚」 「おはよー、今日も兄貴と一緒だったのか?」 「ちょっと遅かったね」 教室に入ると、次々と声を掛けられる。 ひとりひとりに挨拶をしながら、バッグを机に置いてすぐみんなの元へ向かった。 「今日授業変更で、三時間目英語だってよ」 「嘘、最悪―。あの先生にはよく当てられちゃうんだよね」 「それは渚がいつもちゃんと授業聞いていないからじゃないのか?」 「えぇ、そんなことないし! いつも真面目に聞いているもん」 拳をギュッと握り締めて言うと、なぜかみんな笑い出す。 どうしてみんなが笑っているのか分からないけど、みんなが楽しいなら私まで楽しい気持ちになってしまい、一緒に笑ってしまった。 うちのクラスの雰囲気は他のクラスに比べていいと思う。 基本男女関係なく仲良しだし、みんな気さくだし明るいし。 空は学校に来るより、家でのんびりしていた方が楽しいって言うけれど私は違う。 学校に来ていた方が何倍も楽しい。 こうやってみんなと会えるから。 けれど気がかりなことがひとつだけある。
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