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みんなと他愛ない話をしている間も、チラチラと見てしまうのはドアの方ばかり。
日向くん、遅いなー。そろそろHR始まっちゃうのに。
時計とドアを交互に見ること数十秒。
やっとお目当ての人物が耳にイヤホンをつけながら教室に入ってきた。
「あっ、ちょっとごめん!」
日向くんの姿を視界が捉えた瞬間、一気にテンションが上がる。
みんなに一言残し、日向くんの元へと駆け寄った。
「おはよう、日向くん! 今日は登校してくるの遅かったね」
笑顔で挨拶をしたものの、日向くんは我関せずでバッグを机の横にかけ腰掛けた。
ちょっと無愛想すぎませんか? と思うところだけど、日向くんの冷たい対応にはもう既に免疫がついている。
幸い今月初めに行った席替えで日向くんの隣の席になれた。
私も日向くんと同じように椅子に腰かけ、身体を彼の方へ向けた。
「もしかして日向くんってば寝坊しちゃった?」
おどけて聞くも反応ナシ。
うん、これも日常茶飯事なんです。
だから平気! これぐらいじゃへこたれない!
身を乗り出し、日向くんの耳についているイヤホンを抜いた。
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