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するとやっとこっちを見てくれた。……もちろん怒りを露わにしてだけど。
「もう、私が話しかけているんだからちゃんと話を聞いてよ」
口を膨らませて抗議をすると、日向くんは肩を落とした。
「あのさ、いつも言っているけど俺に話しかけないでほしい。ひとりが好きなんだ」
長い腕が伸びてきてイヤホンを奪われそうなったところを、間一髪のところで回避する。
途端に日向くんに顔をしかめられちゃったけれど、負けずと言い返した。
「私もいつも言っているけど、私は日向くんと仲良くなりたいの! だから毎日声かけるからね!」
宣戦布告に楓君は目を見開き、呆気にとられている。
「物好きな……」
「物好きじゃないよ! 普通のこと!!」
ボソッと嘆かれた言葉にすぐに突っ込めば、日向くんの片眉が上がった。
「物好きだよ。それと馴れ馴れしく下の名前で呼ぶな。はっきり言って迷惑」
「あっ……!」
あっという間にイヤホンを奪われてしまい、再び耳につけ音楽を聞き始めてしまった。
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