海野渚の楽しい一日のはじまり

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「もう、相変わらず冷たいんだから」 聞こえないと分かっていても、言わずにはいられない。 「早くあの日見た笑顔、見せてよね」 身を乗り出して言ってみても、反応ナシ。固く瞼を閉じて音楽を聞き入っている。 同じクラス、隣の席の日向くん。 私にとってあの日から気になる存在となり、今一番仲良くなりたい人。 けれど日向くんは冷たくて、ちょっぴりミステリアスな一匹狼。 クラスメイトには「話掛けない方がいいよ」って言われちゃうし、空にも「渚の頭の中、理解不能」なんて言われてばかりだけど、みんなは誤解している。 日向くんが本当はどんな人なのかを。 どんなに冷たくあしらわれたって、私は負けないんだからね!! 絶対に日向くんと仲良くなってみせるんだから。 すまし顔で音楽を聞きリズムを取っている日向くんを目の前に、決意を新たにしたのだった。
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