乾日向は困っている

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「私と友達になろう!」 そしてまた愛嬌のある笑顔を俺に向けてくる。 軽く目眩を起こしそうだ。 どうして、なぜ急に? 夏休みに入るまでは、そんな素振り一度も見せなかったよな? 「悪いけど俺、そういうのいらないから」 理由はどうであれ、友達とかいらない。 突き放すように冷めた声で言い、先に行こうと足を踏み出したものの、彼女は再び俺の前に立ちはだかった。 「私も悪いけど、日向くんと友達になりたいからこれから毎日話し掛けるね!」 さっきの俺の話なんて聞いていなかったような発言に目を白黒させてしまう。 そんな俺を見て彼女は満足気に微笑むと、「早く学校へ行こう」と言い出し、俺の腕を掴むと引きずり始めたのだ。 か細い身体のどこにそんな力があるんだ? と聞きたくなるほど強い力で引きずられていくこと数メートル。 周囲の視線に我に返り、掴まれていた腕を振り払った。 「……自分で歩けるから」 ぶっきらぼうに言ったというのに、彼女は嬉しそうに頬を緩ませた。 「じゃあ私は隣ね」 ピッタリと俺の隣に寄りそい、早く行こうと急かしてくる。
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