乾日向の憂鬱な一日のはじまり

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朝起きるとまず珈琲メーカーをセットし、パンをオーブンに投入。 その間、洗面所で顔を洗い昨夜のうちに回しておいた洗濯物を持って、ベランダで手際よく干していく。 「……っとと、ヤバイ景色が見えた」 耳鳴りと共に頭に流れてきた情景に中断し、慌ててキッチンへと向かう。 すぐにトースターをオフにし開けると、焦げパンになる一歩手前だった。 「こういうとき、役に立つからイラつくよな」 苦笑いしながらも残りの洗濯物を干し朝食を済ませ、準備を整えたあと家を出た。 俺が通う高校は自宅マンションから歩いて十五分の場所にある。 県内では有名な公立進学校で、そこそこ有名なところだ。 だから両親も自宅から遠く離れた今の高校へ進学することと、ひとり暮らしすることを許してくれた。 「おはよう」 「おはよう、ねぇ昨日のドラマ見た?」 学校が近づいてくると、同じ制服を身に纏った生徒で歩道は埋め尽くされていく。 それぞれ友達と楽しそうに会話をしながら学校に向かう中、俺はイヤホンを取り出して音楽を聞き始めた。 自慢じゃないけど、友達はいない。 むしろ今まで一度もいたことがない。
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