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それなのに彼女が毎日声を掛けてくるおかげで、兄である彼には目を付けられている。
ハッキリ言って迷惑以外何ものでもない。
「仕方ない、学校でまたトライしよっと。空、早く行こう」
あっさり諦め、あどけない笑顔で兄の腕を掴み仲良く登校していく後ろ姿を見送った後、やっと物陰から堂々と出ることができた。
彼女のおかげでますます本望な一匹狼と化しそうだ。
電柱に隠れて様子を窺っていた俺を、通り過ぎる生徒たちはまるで不審者を見るような目で見ていく。
大きな溜息が漏れてしまう。
今日も学校に行ったらまた能天気な笑顔で俺に話しかけてくるんだろうな。
この先の未来が見えなくても、安易に予想できる。
今日もはじまる。
俺の憂鬱な一日が……。
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