海野渚の楽しい一日のはじまり

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起き上がると涙目になりながら睨みつけてきた。 「毎朝それやめてくれって言ってるだろ?」 「だって空が普通に起こしただけじゃ起きないからいけないんじゃない。ほら、とっとと起きて着替えて」 腕を掴み無理やりベッドから下ろすと、空は渋々着替え始めた。 私、海野 渚(うみの なぎさ)高校一年生。 そしてこの朝から不機嫌マックスなのが私の双子の兄、空(そら)。 私とは正反対で朝が弱くて、夜が強い。 「おはよう、お母さん!」 「はよ」 対照的な挨拶をした私たちにお母さんは呆れ顔。 「おはよう。まったくまた空ってば自分で起きられなかったの?」 ダイニングテーブルについても眠そうな顔をしている空に、お母さんはコップいっぱいに注いだ牛乳を置いた。 「仕方ねぇじゃん。つーかこれが普通なの。渚が異常に元気すぎるんだよ」 「なにそれ、酷い!!」 自分で作った珈琲牛乳を手に空の隣に腰掛け抗議するものの、彼は聞く耳持たずボーっとしながらもトーストをかじる。
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