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「もうその顔やめなよ! なんでいっつも空ってば不味そうに食べるわけ? 朝から気分悪いんですけど!」
「だったら見なきゃいいだろ? 眠いから味も分からないの」
「屁理屈男」
「能天気女」
「はいはい、喧嘩はそこまで! ふたりとも早く食べて学校行きなさい」
すぐに言い返そうとすると、見兼ねたお母さんに仲裁に入られふたりして「はーい」と声をハモらせた。
「もー空のせいでお母さんに怒られちゃったじゃない」
「なんで俺のせい? 渚が悪いんだろ」
朝食を済ませふたり肩を並べ学校へと向かう。
進学先は徒歩二十分の場所にある。
兄妹揃って仲良く同じ高校に進学した私たちを、近所の人や中学の友達は「本当に仲の良い兄妹だね」って言うけれど、そうとは限らない。
今みたいに口喧嘩は日常茶飯事だし、空は冷たいし。
けれどな、意外と面倒見が良いところがある。
文句を言いながらも、昔からなにかと気に掛けてくれて、ときには助けてくれていた。
だから正直、高校も空と一緒だと分かったら嬉しかったんだよね。
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