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「あともうちょっとで、夏祭りも本祭りだね!」
「せっかくの本祭りなのに、俺と一緒に居ていいのか?」
「キョウちゃんと一緒に居たいから、一緒に居るの!」
「ふーん」
少年は、ぶっきらぼうにそう答えると、おもむろにアイスを取り出し、少女に差し出した。
「やるよ、アイス」
少女が「いいの?」とばかりに目を向ける。
「あげたいから、あげるんだよ」
少年の口ぶりに、思わず少女はふき出した。
「来年の本祭りも一緒に来ようね!」
「まだ今年のも始まってないのに言うことかよ」
少年の言葉があまりに的確なため、少女ははにかんだ。
そんな少女を見て、少年は聞こえるか、聞こえないかの程度の声でつぶやいた。
「今の言葉、約束だぞ」
「え?キョウちゃん何か言った?」
「別に。それより、さっさと食えよアイス。溶けるぞ」
少女は、はーいと返事をすると、アイスにパクリとかぶりついた。
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