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「楓、お帰りーーー」 律紀が右手を大きく振ると、楓も斜面の上まで聞こえるくらいに声を張り、 「ただいまーーー! ふたりでなにしてるのー?」 と大声を返す。 「そこのコンビニでばったり会ったから、話しながら帰ってたとこー」 なんか、大声で会話して小学生みたいだ。 桐哉も同じことを思ったみたいで、律紀の肩を叩き、指をこちらへ向ける。 「下に下りて話せばいいだろ」と言っているのが聞こえるようだ。 律紀が斜面を駆け下りる。 Tシャツの袖と裾をはためかせて、元気いっぱい心から楽しそうに駆け下りてくる。 桐哉はというと、やっぱり歩きながらゆっくりと律紀の後を下りてくる。 思いっきり律紀にあきれているような顔で。
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