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「美緒ー」
日曜日、昨日あった楓からの連絡で、河川敷で待ち合わせて話をしようということになった。
私より先に来ていた楓は、ベンチから立ち上がってこちらに手を振っている。
私も手を振り返して、ベンチの方へ下りていく。
まだ日中は暑いけれども、陰に入ればいくぶん涼しく感じる。
湿り気を帯びていた風もほんの少し乾いてきて、私たちの頬を心地よく撫でる。
「私が留学する前に会ったっきりだから、もう1年以上ぶりだよ。ホント久しぶり」
「久しぶり」
話を合わせて微笑むと、楓が、
「髪も伸びたし、なんかちょっと大人びて……、美緒、見ない間にお姉さんみたいになってる」
と覗き込んで言ってきた。
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