【始動編・ゲームの世界が壊れる刻・第四章】

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夜空が晴れ渡り、星空が瞬いている。 流星群が光っては消え、光っては消えて行く。 此処は、何処だろうか。 八角形をした中心に、巨木にしても有り得ないほどに大きな桜が植わっている、変わった公園が在る。 この公園、夜なのに何故か人が沢山居る。 その中を覗いて見ると…。 派手に目を惹くのは、七色に輝く池。 浮かべたボートには、カップや家族や子供達が楽しんで居る。 その池の北側には、広大な芝生の広場が在る。 形は台形だが、広々としたその芝生の上で、寝そべって本を読む者。 2人や3人でサッカーをしたり、テニスのラリーをしたり、キャッチボールをする人も居る。 一方、違う場所を見れば、ランニングコースとサイクリングロードが、交通安全の完璧な設計で併走する森林公園も在る。 その他、恋人が多い植物園、遊具やアスレチックスコースが充実した場所、飲食も可能な日本庭園と家屋群、美術館や博物館が広がる文化公園など。 この様々な顔を持つ公園は、一体何処に在るものなのだろうか。 その答えは、通行人が知っていた。 博物館や美術館が、剪定された庭に向かい合う。 博物館は、西洋風の立派な寺院にみえる。 美術館は、日本の木造家屋の外装をしていた。 その両方へ、公園を囲う遊歩道から入るには、赤い煉瓦敷きの道を歩かねば成らない。 そして、また二人の正装をしたカップが、そのどちらか、両方を目指して歩いている。 長身男性の腕に手を絡めるのは、日本人の美しい女性だ。 黒髪も長く、白いドレスのワンピースを着て居る。 「アナタ、ボーナスに奮発したわね」 一方、その女性をエスコートする様に、黒と赤のストライプ模様のスーツを着た外国人姿の中年男性が連れ。 「今季は、ウチの製品が良く売れたんだ。 去年の倍出たから、君と結婚することも決める意味も込めて、F・Sを二台購入したんだ」 この二人、どうやら恋人の様だ。 そして、女性の方が、男性の肩に頭を預けてから。 「幸せだわ。 プロポーズと一緒に、F・Sも買ってくれるなんて。 〔HEAVEN'S‐DOOR〕の中なら、何時でもデートも出来るし。 私も、こうして一緒に歩ける…」 この二人の会話からして、この世界は仮想現実空間〔HEAVEN'S‐DOOR〕の内部と云うのだ。
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