22. 楽しい楽しい文化祭

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「ねえ、あれって吉井じゃないの?」 クラスメイトにそう言われてよく見れば教室のドアに隠れている吉井の姿を見つけた。 「ホントだ・・」 「お前を探しにきたんだろ?行ってやれよ・・」 「でも・・」 「いいから行って・」 「ありがとう・・村瀬」 すっかりF組に馴染んだ村瀬に礼を言って吉井の元に駆け寄る。 「つ、堤・・」 「どうしたんだ、約束の時間までまだ間があるよ」 「う、うん・・その、神谷が代わってくれて・・」 「そうなんだ、じゃあ行くか・・」 神谷は吉井が堤と約束していることを知って店番を交代してやると申し出てくれた。 ただし、この恰好のままで・・ は、恥ずかしいっ! F組の教室は離れているためここまで来る間に何度も軟派された。 黒いミニワンピースに白いフリルのついたエプロン。太ももまである長いソックスにネコ耳のカチューシャはさすがに羞恥心を抱く。 いつもはワックスで纏めている髪も今日はつけていなくてサラサラだ。 そのせいかみんな吉井だとは気づかなかったみたいだ。 なのに何故村瀬が気づいたかと言うと彼はここに来る前に既にメイド姿の吉井に会っていたからだ。 「吉井・・?」 ドアに隠れたまま動こうとしない彼に堤は首を捻った。 そこを退いてくれないと外に出れないんだけどな。 ドアに手をかけて開けようとしてら吉井がそれを阻止しようとする。 「おい、ここを開けろっ!」 「い、イヤだ」 「はあ~?何ふざけてんだ」 力尽くでこじ開けようとするが吉井も必死になって開けまいと踏ん張る。 「吉井っ!」 イラついて思わず声を荒上げると、ビクッと肩を震わした。 その一瞬の隙を堤は見逃さず力任せにドアを引くと、吉井はバランスを崩しそのまま彼の腕の中に倒れこんでしまった。 「わっ!」 ふわりと匂うシャンプーの香りに胸がキュンとなり顔が赤くなったのが自分でもわかった。 「吉井・・」
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