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ここ聖林学校は小学部からエスカレート式の全寮制の男子校である。
生徒数は数千人。クラスは、上からS、A、B、C、Dと成績あるいは家柄から分かれる。
成績も条件付きだが特待生というものがあり、学費、食費とも免除される。
ただ成績が落ちれば保留、またははく奪されることになり勉強は手が抜けない。
買い物も全て学校専用のカードの支払いで、
関係者専用のブラックと特待生専用のイエローと一般生徒専用のレッドの三種類で部屋のキーにもなるので紛失には要注意だ。
勇人はイエローでそれを何となく確かめてから
鉄製の門に足をかけ器用に登っていると、下から声がして動きを止めた。
「何をしてるんですかっ?」
見れば迎えらしい生徒がいて眉を寄せてオレを睨んでいた。
「えーっと・・」
どう見てもこれはオレの方が分が悪い。
「降りて来なさいっ!」
天辺まで登っていたがそこから飛び降りた。
「えっ!ちょっと、何をっ!!」
そいつはわざわざこっちに走って来た。
「わっ!ばかっ、!」
ドシンっ!--
予想通りそいつは、オレの下敷きになったがこれは、オレのせいじゃない!
「痛ててっ・・・」
ケガはしなかったが、腰を打ってしばらく立てなかった。
それより、あいつは大丈夫かと気になり声をかける。
「おい、大丈夫か?」
「っ、はい・・」
ようやく立てるようになって、そいつに手貸してやる。
「余計なことをしてすみません」
「え、あーいや・・」
「申しおくれました。私は副会長の早瀬浩太といいます。あなたは相良勇人さんですね?」
ニッコリ微笑むが、その笑顔がウソくさい。
それが、こいつの第一印象だった。
その後、寮まで案内してもらった。
本当は理事長室に行きたかったが不在らしい。
しかし、金持ちのすることは理解できない。
ここって、学生寮だよな?
シャンデリアに金ぴかのエレベーター?
外観だって、高級ホテルみたいで、それが五棟もある。
そればかりではなく、高級スーパーと、
図書館、映画館やゴルフ場まであり、庶民のオレには縁のないものばかり。
で、部屋に入ったら、
内装の豪華さにビックリして、持っていたカバンが手から落ちた。
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