3.出会い

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ここ聖林学校は小学部からエスカレート式の全寮制の男子校である。 生徒数は数千人。クラスは、上からS、A、B、C、Dと成績あるいは家柄から分かれる。 成績も条件付きだが特待生というものがあり、学費、食費とも免除される。 ただ成績が落ちれば保留、またははく奪されることになり勉強は手が抜けない。 買い物も全て学校専用のカードの支払いで、 関係者専用のブラックと特待生専用のイエローと一般生徒専用のレッドの三種類で部屋のキーにもなるので紛失には要注意だ。 勇人はイエローでそれを何となく確かめてから 鉄製の門に足をかけ器用に登っていると、下から声がして動きを止めた。 「何をしてるんですかっ?」 見れば迎えらしい生徒がいて眉を寄せてオレを睨んでいた。 「えーっと・・」 どう見てもこれはオレの方が分が悪い。 「降りて来なさいっ!」 天辺まで登っていたがそこから飛び降りた。 「えっ!ちょっと、何をっ!!」 そいつはわざわざこっちに走って来た。 「わっ!ばかっ、!」 ドシンっ!-- 予想通りそいつは、オレの下敷きになったがこれは、オレのせいじゃない! 「痛ててっ・・・」 ケガはしなかったが、腰を打ってしばらく立てなかった。 それより、あいつは大丈夫かと気になり声をかける。 「おい、大丈夫か?」 「っ、はい・・」 ようやく立てるようになって、そいつに手貸してやる。 「余計なことをしてすみません」 「え、あーいや・・」 「申しおくれました。私は副会長の早瀬浩太といいます。あなたは相良勇人さんですね?」 ニッコリ微笑むが、その笑顔がウソくさい。 それが、こいつの第一印象だった。 その後、寮まで案内してもらった。 本当は理事長室に行きたかったが不在らしい。 しかし、金持ちのすることは理解できない。 ここって、学生寮だよな? シャンデリアに金ぴかのエレベーター? 外観だって、高級ホテルみたいで、それが五棟もある。 そればかりではなく、高級スーパーと、 図書館、映画館やゴルフ場まであり、庶民のオレには縁のないものばかり。 で、部屋に入ったら、 内装の豪華さにビックリして、持っていたカバンが手から落ちた。
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