【始動編・ゲームの世界が壊れる刻・第五章】

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新たに加入者が増える事は、決して良い事とは云えない。 皇輝の不安は、予感的中した。 普通に考えて、やはり死を招くプログラムの存在など、誰が直ぐに信じられようか。 新たに加わる者に事態を知らせるだけで、どれほどの苦労や苦心をしなければ成らないか。 先ず、人それぞれには意思が在る。 然し、やはり自分の意思が一番だ。 無理やり協力させようとしても、それは無理だ。 その難しさを知るのは、誰より他人を拒否した一時期を過ごした自分だから、良く解る。 然し、事実を知って一段と協力的に成った刹那を見れば、やはり変わるのも人それぞれだ。 そして…。 今、第五ワールドのステージ2、〔高層ビル〕の中を動く皇輝達だが。 たった4人で8人分の規格、2.2倍の広さに成ったステージを行く。 地下駐車場から戻った佳織は、三枚の絵を持って29階に居た皇輝と落ち合う。 〔第一プレゼンルーム〕にて、広いフロアへ入った佳織。 「皇輝さん。 今回は、駄洒落みたいな連想ゲームがお題みたいよ」 絵を貰った皇輝は、何らかの絵が描かれている紙を貰い。 「みたいですね…」 と、短く返すのみ。 その顔の表情は、何処か不安げだ。 佳織は、立て続けに加入者が来て、嫌な事ばかりが続くと。 「あのメフィストゥって、絶対に性格はドSね。 せめて、新しく入って来る人には、自分で状況を解らせて欲しいわ」 と、不満を見せる。 然し、皇輝は、現実の時間を気にしていて。 「処で。 あの休憩に行った三人は、戻って来ませんね」 「え? あの現実に戻った三人のこと?」 「はい」 「皇輝さん、人が良すぎ。 あんな事されたんだから、放って置けばいいのよ」 「です・・あ゛っ」 空中に現れているメニュー画面に触れて、新たなる情報を得ようとした皇輝だが。 コミュの情報を見て、急に驚いた。 「え? な・・に?」 皇輝の驚きに、佳織が驚いた。 だが、近寄ってメニュー画面を覗くと、目を見開かせる。 「うっ、・・そ」 今の処は、全8人と成るコミュメンバーだが。 新たに加わった3人の内、Charlieなるユーザーを残して、二人のユーザーが赤色で表示されていた。 「皇輝さん・・こっ、ここっ、これ…」 佳織が動揺して、覗き込んだ皇輝の顔は、苦悶に歪む。 「外部と、接触しようとしたんだ。 嗚呼っ、どうしてメフィストゥには解るんだっ」
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