もう1度、君に

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空を見上げる 薄汚れた灰色のビルの隙間から、透き通った青が覗く 僕の目に映るのは、遠く、遠く、狭い青 「無理だよ、ここに残りなよ」 後ろから声がする。 名前も知らない、今、何処に住んでいるかもわからない人に会いに行くなんて… 僕を必死に呼び止める声は、少し震えている 寂しさからくる震えなのか、それとも、僕たちの全てだったこの場所を捨てて出ていく事を決めた僕に対する怒り? ソッと振り返ってみる まん丸の瞳は、ジッと、僕を捉えて離さない ごめん。僕は、君を裏切ったわけじゃない この場所も、仲間達も、僕はずっと忘れないつもりだ 「どうしてももう1度、あの人に会いたいんだ」 会ってどうするのよ ポツリと零れた言葉は、小さな石ころのように固く、カランと地面に落ちてコンクリートに溶け込んだ 僕はその言葉を探すことはしなかった そのままコンクリートの一部になって、二度と僕の耳に入らなければいい。と思った だって、僕だってわからないんだ あの人に会って、どうすればいいかなんて。
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