蝉の声がうるさいとある神社の一角にて

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「あ、猫ちゃんだ! かわいー……ほらこっちおいで」 「……」 「ああ逃げちゃった……」 「…………」 「あの子、全然触らせてくれないんだよねー。前世はお姫様だったのかな?」 「なあ」 「え、なに?」 「なんでもうお面被ってんだよ。祭りは明日だろ?」 「それはあれだよ! 予行練習って奴だよ!」 「意味が分からん……というかな。今時小学生でもそんなの被んないぞ?」 「私の精神は小学生の頃から何一つ成長してないからねっ!!」 「威張るな」 「えーいいじゃ~ん。そもそもこのお面は君が買ってくれたんだよ?」 「小学生の俺がな。生憎俺の精神は日々成長を続けてる」 「ふーん……ところであの時私も君に狸のお面買ってあげたよね。まだ持ってる?」 「……」 「捨てちゃったの……?」 「……持ってるよ」 「ふふ、良かった!」 「……ほらさっさとアイス食え! 溶けるぞ!」 「あ、照れた」 「うるさい!!」
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