眠り姫とシェアハウス

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   出てきたチャーシュー麺を姫はきらきらした目で見ていた。  早く食べたそうだ。  「姫、熱いですよ」  しかし姫にやけどさせるわけにはいかない。罵られるのを覚悟でトサカは進言した。  「そう。なら食べやすいように冷まして。家来の役目でしょ」  『!』  その言葉に男性陣は湧き立つ。  「ぼ、僕が姫にフーフーして食べさせます!」  「ばっか、ラーメン屋に誘ったのは俺だぜ!?」  「誰でもいいわ。早く冷ましなさい。もう待つのはうんざりなのよ」  「じゃああたしが。それが一番安全だし」  そう言うと、ピンクは蓮華に乗せた麺とスープをふーふーしてから、姫に食べさせた。  「んむ…んん」  その光景を男性陣はごくりと唾を飲んで見ていた。  ごくっと姫が咀嚼をする。  「……」  皆、姫の感想を待っている。  「そうね…まあ、庶民の食べ物にしてはまあまあだわ」  セリフと表情が合っていない。  早く次を食べさせろと言わんばかりの期待に満ちた顔だった。  結局、姫に掛かりきりで、住民たちはあまり食べれなかったが、何だかとても癒される時間であった、と皆満足していた。
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