眠り姫とシェアハウス

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   「姫さま…」  「姫…」  何かの儀式のように椅子に腰かける姫の周りに、人々が集まっている。  男も女も、皆口々に姫に対する敬愛の念を示す。  「姫様は我がシェアハウスになくてはならない象徴です。あの日、姫と出会ったのは運命だったのです」    「そうね。その通りだわ。もっと私を湛えなさい」  「姫様なくして今日の我々はあり得ない」  「姫、どうか我らに今後もお恵みを…」  かしづいた家来の一人が姫の足にキスをする。  ここ最近では、姫の一番のお気に入りである、王子と呼ばれる男だった。  「ワタクシからの忠誠の証、これは皆の総意でございます」  (ふふ…ふふふ)  姫は心の中で喜びの声を上げていた。  
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