眠り姫とシェアハウス

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   深い森の奥。  今や、人々の間で神話として語られる存在である彼女は目覚めた。  「ふぁ……」  彼女の名は眠リ乃玉姫。  かつて悪い魔女に呪いを掛けられ、時を止められて眠りについた。  その眠りはおよそ千年に渡り続いた。  その間彼女を目覚めさせるため、数々の策が講じられた。  賢者の薬。  黒魔術に対抗する白魔術。  そして王子のキス。  彼女はそれを待っていた。  自分を目覚めさせてくれる王子を。  (そうよ。眠りについた姫は王子のキスで起きるもの。それくらいの役得がないと、姫なんてやってられないわ)    それは生前からの彼女の夢だった。  そのために、あえて魔女の呪いを受けたのだ。  当然魔女は捕えられ死罪に。  彼女は王子のキスを夢見て眠りについた。  
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