眠り姫とシェアハウス

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   しかし、キスによる目覚めは一向に訪れなかった。  まず、各国の王が競って自分の王子をと推薦したため、誰がキスするか中々決まらなかった。  「うちの王子は世界一料理がうまい」  「うちは剣術の腕が世界一だ」  「世界一眉毛が長い」  と誰もかれもが、姫にキスする役に立候補した。  うかつに決めると、国際問題になりかねないため、王も中々決断できなかった。  しょうがないので抽選で決めよう。これなら公平だ、ということで、くじ引きで決めることになった。    その結果。  「千代国の王子に決定しました」  そしてその報せが国中に広まった。  「やっと決まったか」  「いい加減姫様が不憫だよ」  「これでコ国も安泰だな」  ところがその数日後。  千代国の王子が暗殺される事件が発生した。    明らかに、抽選の結果に不満を持つものの仕業だった。  こんな感じで、結局姫を起こす相手は、いつまで経っても決まらなかった。  そのうち時が流れ、王家も没落し、やがて王政自体が世界から消えて行った。
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