研究資料:零

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石塚里美 30歳 独身 フリーター 借金有り リストカット跡有り 「何この人。」 研究資料:零のファイルを見ながら研究員の1人、佐藤朱美は顔を上げた。 「俺が担当の研究資料だよ。」 朱美の問いに答えるのは佐々木涼汰。研究所の責任者でもある。 「そりゃ分かるわ!そうじゃなくてさー。この人何でうちなんかに来たのさ。」 「んー。確か友人の悪ノリ?ほら、此処って胡散臭い名前だから悪ノリとかじゃないとなかなか来ないでしょ。」 「胡散臭いとは何よ!真剣に研究してるじゃない!それに一応責任者のアンタが言うな!」 涼汰の一言にツッコミを入れたのは、この恋愛恐怖症研究所を立ち上げた創立者の結城真奈美であった。 「でも名前的にほんと胡散臭いよねー。まぁ、楽しいけど。」 「たのしんでくれてるなら結構。それで、この石塚さんの担当って涼汰だよね?」 「そうだけど。」 「彼女…どうなの?」 「どうって?」 「この資料によればまだ前に進めてないみたいだけど。見込みはあるの?」 真奈美に言われて腕を組み直し「うーん…多分?」と涼汰は答えた。 「そう。じゃあ引き続き宜しく。あたし、これから面談があるから。」 そう言い、真奈美は研究室と表記されている部屋から出て行った。 真奈美が出て行った方向に視線を向け、カップに入ってたコーヒーを飲み干すと「さて、僕らも仕事に行きますか。」と涼汰は立ち上がった。
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