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…――私は誰もが気になる人じゃない。
ごくごく普通な幽霊。
今の世の中、幽霊な女の子なんてありふれてる。その子に気になる男の子がいて想いを告げられず、死んでしまい後悔して、さ迷ってるなんて、当たり前で平凡すぎる。でもね。これこそが私の人生(?)なんだ。どんなにつまらなくても確かにここにいるんだ。
そんな王道的幽霊少女。
名は内藤鈴(ないとう すず)。
享年半年前の新米幽霊だ。そんな私の気になる人は市川洋平(いちかわ ようへい)という幼なじみの男の子だ。いや、『だ』というより『だった』と言った方がいい。なにせ私は幽霊なんだから。もちろんお決まりの想いをって後悔もある。あまりにもベタすぎて逆に新鮮になっていれば、それはそれで佳しとしよう。
とにかく成仏できずにさ迷っている。
死んだ時の姿のまま、この世にとどまっている。腰まである艶のある黒髪を髪留めを使い二箇所後ろでまとめている。瞳には茶色のコンタクトを入れ、唇は派手すぎない赤色。自分でもごく一般的でつまらない女子だと思う。服装もあの日のまま。幽霊だから洗濯や着替えの必要がまったくないのだ。簡単にまとめると黄色と青のボーダーワンピースに青い七分袖のインナー、そこに茶色のスエードショートブーツ。
私の勝負服だ。
なにせあの日は楽しい卒業旅行だったんだから。
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