第1話「ヤンデレ君の厄日な1日。」

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ひぃぃ…っ、今1番会いたくない人だよ~! はっ、ヤバイ!杏が居るんだった! 杏に柳沢先輩を会わせたくない、念のために隠れておこう! 「…律?」 とりあえず隠れるために、俺は慌ててベッドに上がって、目を覚ました杏と自分の姿を毛布で覆い隠した。 毛布の中で杏が「…どうした?」と言ってきて、杏の隣で俺は人差し指を立てて「しーっ!静かにして」と小声でお願いする。 そして耳を澄まして、カーテンの向こう側の会話を聞く。 岡林先生の、呆れた声が先に聞こえた。 「アズキ~、お前はまた校舎に入って来たのか?駄目だって言ってるのに」 「遥香ちゃんがいないと寂しいんだろうなアズキは」 「ありがとう圭也君。アズキは綺麗な顔の男に飛びつくクセがあるから、いっつも君に捕獲してもらっちゃってるね」 「猫にモテるのも悪くないな。 つーか俺の幼馴染の黒猫ちゃんも、俺にもっとメロメロになってくれよ~」 「うわっ!?いきなり抱き付いて来んな離れろっ…、ひぃっ、助けて遥香さん!」 「こらこら圭也君、戒君が嫌がってるからやめなさい」 カーテンの向こう側は騒がしい。 俺は柳沢先輩に呆れながら、思う。 …柳沢先輩って、誰にでもスキンシップ激しいんだ。 まぁ女子は大喜びだろうね。 でもだからって、キスはしないだろうなぁ。 先輩が俺のことを好きって、あれ、本気なのかな…。でも本気じゃなきゃ、ベロチューとかしないよね。 うっ…あの時のキスを思い出しちゃったよ。あ~もう!先輩が好きな相手がなんで俺なワケ!? てか早く出てけよー! 「…あれ。なぁ遥香ちゃん、そこのベッドに誰か居るのか?」
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