第1話「ヤンデレ君の厄日な1日。」

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俺は出入口に突っ立ったまま、杏を見つめる。 杏が俺の異変に気づいたのか、口を閉じると目を伏せた。 …ドアを開けた時、杏の横顔が見えた。 でも…なぜかその横顔が、『笑っていた』ように見えたんだ。 笑っていた?杏が? 俺以外の人間に、笑った顔を向けてたの? ねぇなんで? なんでだよ杏…。 「あれ、圭也とは一緒じゃないの?」 声が聞こえて、今度はそっちに目を向ける。 優しい笑みを浮かべていた戒先輩と、俺の目が合う。 瞬間、戒先輩がびくっと小さく体を震わせて息を呑んだ。 怯えたのかもしれない。 だって今の俺の目はーー 「…杏は、俺だけに笑っていれば、よかったのに…」 この先輩、やっぱり邪魔だったな…。 第1話.end
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