第2話「お人形と笑顔の練習。」

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* * * 圭也が1年の子と保健室を出て行った。 残された俺は、とりあえずここで圭也たちが戻って来るのを待つことにする。 圭也があの1年の子に何かしないか、心配だな。 「…えーと、杏君。具合悪そうだけど、大丈夫?」 俺はベッドの上に居る杏君を見下ろして、にこりと笑みを浮かべた。 俺を見上げていた杏君は、視線を落とすと黙って頷く。 杏君とは、図書委員の仕事で何度か昼休みを一緒に過ごした。 まぁでも…杏君は無口だからなぁ、会話とかちゃんとしたことないけどな。 最初の頃なんて、無口すぎてこの子はもしかしたらしゃべれないのかな…?ってちょっと心配した。 それに、無表情な顔しか見たことない気がする…。 「えーと、寝不足とか?」 「……」 俺はとりあえず、笑顔のまま話しかけてみることにした。 圭也が帰って来るまで、無言のままはちょっとしんどい…。 「…猫が、苦手なんです」 ベッドの縁に腰掛けた俺の耳に、杏君の静かな声が聞こえた。 「え、猫?」 きょとんとして小首を傾げて杏君を見ると、杏君はまたすぐに俺から目をそらした。 目を合わせてくれないなぁ…。
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