第2話「お人形と笑顔の練習。」

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「ありがとな~律斗」 「先輩ムカつく~」 ニコニコしたその笑顔、ぶん殴ってぐちゃぐちゃにしてやりたい…。 内心そう思いながら、子供みたいに嬉しそうに笑う圭也先輩を見つめる。そしてさっきの、金田って先輩が言っていた言葉を思い出した。 嘘くさい笑顔、か。 そんなふうには見えないよね、ちゃんと自然に笑えてるように見えるけど。 …それって、好きな人の前、だからかな? 圭也先輩、俺のこと好きって言ってたし。 でもそれは、死んだ幼馴染と俺が似てるって理由だし、きっと圭也先輩は俺を通してその子を見てるんだろうなぁ。 「ん?律斗どうした?そんな熱い視線で見つめられると照れちゃうなぁ~」 「先輩、ちょっと黙ったら?」 「…へっ?」 俺は圭也先輩の頭を、圭也先輩がするみたいに撫で回した。 すると圭也先輩の顔がみるみると赤くなっていく。 「…り、律斗?」 「あはっ、そうそう。そうやって恥じらってた方がイイね、かわいいよ先輩?」 「……っ!」 ぎゅっと唇を噛み締めた圭也先輩が、悔しそうに俺を睨みつけてくる。 俺はそんな圭也先輩の頭を撫でながら、にやりと笑ってやった。 この顔いいな~、先輩のファンの女の子たちが見たら、きっとバタバタ倒れるだろうね。 そんな圭也先輩の顔を今、俺が独り占めしてるんだよねぇ。 なんか快感だ。 その時、ガラッとドアが開いて部屋に光が差し込んだ。 圭也先輩と一緒にビクッと震えて、ドアの方に顔を向ける。 「貴様ら、何をしている?」 黒髪眼鏡の知らない2年の先輩が、俺たちに鋭い視線を向けて立っていた。 圭也先輩の口から「げっ…生徒会副会長…」という呟きが聞こえる。
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