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「ありがとな~律斗」
「先輩ムカつく~」
ニコニコしたその笑顔、ぶん殴ってぐちゃぐちゃにしてやりたい…。
内心そう思いながら、子供みたいに嬉しそうに笑う圭也先輩を見つめる。そしてさっきの、金田って先輩が言っていた言葉を思い出した。
嘘くさい笑顔、か。
そんなふうには見えないよね、ちゃんと自然に笑えてるように見えるけど。
…それって、好きな人の前、だからかな?
圭也先輩、俺のこと好きって言ってたし。
でもそれは、死んだ幼馴染と俺が似てるって理由だし、きっと圭也先輩は俺を通してその子を見てるんだろうなぁ。
「ん?律斗どうした?そんな熱い視線で見つめられると照れちゃうなぁ~」
「先輩、ちょっと黙ったら?」
「…へっ?」
俺は圭也先輩の頭を、圭也先輩がするみたいに撫で回した。
すると圭也先輩の顔がみるみると赤くなっていく。
「…り、律斗?」
「あはっ、そうそう。そうやって恥じらってた方がイイね、かわいいよ先輩?」
「……っ!」
ぎゅっと唇を噛み締めた圭也先輩が、悔しそうに俺を睨みつけてくる。
俺はそんな圭也先輩の頭を撫でながら、にやりと笑ってやった。
この顔いいな~、先輩のファンの女の子たちが見たら、きっとバタバタ倒れるだろうね。
そんな圭也先輩の顔を今、俺が独り占めしてるんだよねぇ。
なんか快感だ。
その時、ガラッとドアが開いて部屋に光が差し込んだ。
圭也先輩と一緒にビクッと震えて、ドアの方に顔を向ける。
「貴様ら、何をしている?」
黒髪眼鏡の知らない2年の先輩が、俺たちに鋭い視線を向けて立っていた。
圭也先輩の口から「げっ…生徒会副会長…」という呟きが聞こえる。
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