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『…え?』
『何かしつこかったから。まぁ1週間くらい相手してやって、別れるつもりだから』
『……』
『スーパー寄ってカレーの材料買わないとね』
歩きが遅くなった俺の前を、律は鼻歌を歌いながら歩いて行く。
『…なぁ、律』
『ん~?』
『……おいて行くな』
ぴたりと止まって、律が不思議そうに振り返る。
『あ、ごめん。歩くの早すぎた?』
『…お前は、俺をおいて行くな』
『杏?』
俺はぎゅっと拳を握りしめて、俯く。
『…お前は、俺の前から居なくならないでくれ。1人に、しないでくれ…』
『ーーさぁ、どうだろ。俺にはあの人の血が流れてるからなぁ』
律の声のトーンが低くなる。
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