私が恋愛出来ない理由

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 だけど、佐々木さんとの恋愛も二ヶ月で幕を閉じた。  元々は私が良くなかったんだと思う。 「会社の人たちには、とりあえず内緒にしておきましょう」  そうやって、最初からいつか来る別れを警戒した。 「葵がそういうなら良いけど・・・・・・」  佐々木さんが納得していない事なんて、見れば分かった。  私は佐々木さんに誘われれば何処にでも行ったし、恋人らしい事もした。  だけど、自分のアパートには一切佐々木さんをあげようとしなかったんだ。  別れる事になったその日、佐々木さんは私のアパートに行きたいと言い出した。  多分三度目位のお願いだったと思う。 「来ても嫌な思いするだけですよ。私、彼の私物残したままだから」 「二年戻ってきてないんだろ?」 「そうですね」 「それってもう、その男からしても「要らない」って事なんじゃないの?」  ごもっともだ。  何着かの服を持って出ていった慶太。  残りの服や靴は残して行ったから、私はいつか取りに来るんじゃないかと思ってた。  だけど、もう「要らない」ということなんだろう。 「そうですね・・・・・・」 「そんなのがあるから踏ん切りも付かないんじゃないの? 葵はさ、多分変わる気なんてないんだよ」  何も言い返せなかった私。  変わりたいと思う気持ちに嘘はないのに。 「葵がそんなんじゃ、俺が何したって意味無いよ。・・・・・・ということだから、終わりにーー」  別れは案外呆気ない。 「ごめんなさい」  別れるというのは、相手が誰であっても基本的に寂しい。  良くしてくれた佐々木さんに答えられなかった私。 「泣きたいのは俺なんだけどな」  そう言い残して、私に背を向けた佐々木さんはそのままこの場を去っていった。
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