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「カナさん家どの辺ですか?」
なるべく自然に。警戒されないように。
「どうして言わないといけないんですか?」
予想通りのターン。俺はふうっと息を吐き、笑いながら返す。
「さっきもお伝えしたように仕事あるんで。食事してカナさん送って職場に戻るんで、最短ルート取りたいんです」
何か腑に落ちないという顔しながら
「綾瀬です」
よし!
なし崩しに食事をOKさせ、送りも了解させた。
ここから綾瀬なら車で三十分。
綾瀬から会社まで車で二十分。
ルート上でパーキングありで食事出来るところは……
「ファミレスでいいですか?」
かなり警戒していたのか、ファミレスと聞いてあからさまに肩の力が抜けたようだ。
「いいですよ」
ほこっと笑う、
バックミラーに映る彼女。
このままお持ち帰りしたい。
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