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朝から昼までに10店舗回り、会社に戻り、事務仕事を片付け、再び店舗回り。
カナさんのいる店舗に着いたのは彼女が片付け終わり、挨拶も済ませ、今まさに帰ろうとしている所。
「カナさん」
こっちを向く彼女は何だか不機嫌だった。
「お疲れ様です」
そのまますれ違って行こうとするので
、慌てて腕を掴まえる。
まあ当たり前だが、彼女が体をびくりとさせ、
「何するんですか!」
でも怯んでいられない。
「ちょっとだけ時間下さい、すぐ戻りますから」
早口で彼女に告げ、事務所に行き店長と今日のお礼、明日からの納品について打ち合わせた後、外に出た……もう6時。既に三十分以上経っていた。
ので、諦めていた。
のに。
待っていてくれた。
俯きがちに倉庫の壁にもたれて。
夕日が彼女に影をつくっているから表情は解らない。
舞い上がりそうな気持ちを抑え、駆け足で彼女のもとに行く。
足音にビックリしたように俺をみるカナさん。
彼女の腕を引く。
「すみません、お待たせしました。行きましょう」
「はあっ?」
すっとんきょうな声を出す彼女。
外見とのギャップが堪らない。
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