ほんとうにごめんなさい

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 ぱっぱぱー。  ドラえもんが道具を出した時みたいな音。そんなファンファーレがもう4日も鳴り続いてる。  街はパニックだ。泥棒、強盗、強姦、殺人。どうせ死ぬなら最期は好きにしてやろうって連中が多すぎて、終末を前にどんどん人が死んでいく。 「ねえ、」  目の前の女の子が怯えた目で言った。 「私をどうする気?」  どうされると思う? と俺は訊いた。彼女は何も答えない。ぱんぱーん、とラッパがアホみたいに鳴った。  俺もまた、どうせ死ぬのなら好きにしてやろうとういう一人だった。金さえ貰えりゃあとはどうだってよかった。物凄いスピードで走る黒い車の前に釘やら何やら色んな物をまいてタイヤをパンクさせた。  そのはずみでスピンした車は電柱にぶつかって、後部座席のお嬢様以外みんな死んでしまった。 「変な事したら、」  白い服を赤い血で汚した少女は、震える声で俺を脅す。 「ただじゃ済まさないから」  その子を見て俺は、綺麗だなと思った。顔とか身体とかじゃない。白い肌が赤い血で汚れていることが、凄く、綺麗だと思った。  気が付けば俺は、彼女を組み敷いていた。細い腕。ちょっと握れば折れてしまいそうだ。 「ちょっと」とがなる彼女の細い首を握って息を止めさせる。目を剥く顔も、良い。  その時俺はこの娘を汚そうと決めた。お金なんてどうでもよくなっていた。どうせ3日後には終末が来る。好きにやらなきゃ、損だ。  俺の下でもがく彼女を見て、その目から落ちる涙を見て、殺された母の事を思い出して、俺は思った。  ほんとうにごめんなさい。
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