ほんとうにごめんなさい

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 ぱんぱかぱーん。  外では終末のラッパが鳴り響く。僕は指を組んで、ずっとお祈りを続ける。チャッピーは僕の横で、静かにお座りをしている。 「神様、どうか聴いてください。僕は、僕は悪い人間でした」  ぱっぱぱー。 「僕は同じクラスの女の子をいじめました。その子の髪を引っ張りました。遠足の時、その子のお弁当をトイレに流しました。不細工だって、何度も何度も言いました」  ぱーぴー。 「それで?」と言うようにラッパが響いた。 「その子の机の中に虫の死骸をいっぱい入れました。教科書に牛乳をかけてしまいました。机と椅子に落書きをしました。彼女はとうとう転校してしまいました。仲の良かった子もいたのに、僕が転校させてしまいました」  ぱぱーん、ぱーん。 「だから僕はきっと地獄に行きます。それはいいです。でも神様、どうかその子とチャッピーだけは、天国に行かせてあげてください。僕はどうなってもいいから、その子だけは、もう辛い目に合わないようにしてあげてください」  ぱーん。ぱんぱらぱーん。 「彼女をいじめないと、僕に同じことをすると言われたから、僕の飼ってる犬を殺すって言われたから、怖くて彼女に酷い事をしてしまいました。だから、僕は地獄でもいいです、彼女だけは、どうか彼女だけは……」  ぺろ、とチャッピーが僕の涙を舐めた。どうしたの、という表情で僕を見ている。僕はチャッピーを抱きしめた。 「ごめんな……」  僕が弱いから、僕が悪い事をしたから、お前まで地獄に連れて行かれるかもしれない。  僕がどれだけお祈りをしても、神様は聴いてくれないかもしれない。僕が強かったら、こんな事にはならなかったのに。  終末まであと1日。僕には何ができるだろう。ただ謝る以外に何か出来る事があるんじゃないだろうかと思う一方で、それを考える間に溢れてくる言葉を、神様に言う以外のことは出来なかった。  ほんとうにごめんなさい。
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