第1章

2/2
前へ
/2ページ
次へ
駄菓子屋で買ったアイスキャンデーを手にして、お気に入りの場所に向けて足を進める。 山の中腹にある寂れた神社、心地良い風が吹き抜け、昼寝をするのに持って来いの場所。 一定の周波数が聞こえない難聴の私には、生を満喫する蝉の声は聞こえて来ない。 階段を上がりきった私の目に、先客が映る。 女の子が猫と戯れていた。 女の子に会釈し隣に座る。 「食べる?」 1人でアイスキャンデーを頬張るのは気が引け、半分に割り片方を差し出す。 「ありがとう」 アイスキャンデーを食べ終え微睡む。 目を覚まし周りを見渡す、女の子も猫もいない。 夢? 首を傾げた私の耳に、山の上の方から「コーン」と、狐の鳴き声が聞こえた。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加