Song 1

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学校から駅へ続く道は、桜の木が等間隔に並んでいる。 始業式の日には花びらが残していた桜も、いつの間にか青々とした葉ばかりになっていた。 俺―――綾瀬隼人が高校2年生になったのは先週の頭のこと。 部活は入っておらず、次第に時間を持て余すようになった俺は、先週バイトの面接を受け、コンビニでのバイトが決まった。 今日はそのバイト初日というわけなのだけど……改札前の電光掲示板を見上げて、しばし足を止めた。 バイト先は家と学校との中間地点の駅にあって、普段利用している電車で行ける。 ただ次にくる電車に乗れば、バイトの時間には早すぎだ。 俺は改札を抜け、いつもの3番線のホームへと歩きだした。 ホームに続く階段はふたつある。 普段は向かって右側の階段をおりているが、今日はその反対側の階段をおりた。 特に理由はなく、しいて言えば新しいことを始める、ちょっとした気分転換だった。
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