Song 1

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線路の向こう側を見ているものの、どこを見ているふうでもない。 自分のことを棚に上げて、なんで電車に乗らなかったんだと訝しんだ。 というか、ずっと鼻歌を歌っていたんだろうか。 変な奴だと思いつつ、不思議な女子に関わるつもりなんて毛頭ない。 俺はすぐに目を外し、ベンチに座ってゲームを再開する。 やがて学生たちのざわめきが耳に届き、さらに時間が経てば、電車が到着するアナウンスが流れた。 スマホから目をあげると、視界の端にさっきの女子が映りこむ。 停止線のすぐ近くで、彼女は雑音にかき消されながら、やはり鼻歌を歌い続けていた。 変なやつ、と心の中で呆れ、入ってきた電車に乗る。 電車に揺られ、バイト先のある駅で降りると、すぐとなりの車両から、あの女子が降りたのが見えた。 ここが最寄駅だったんだと思いつつ、ちらりと彼女の横顔を見たのは、まだ歌っているのか気になったからだ。 彼女はもう歌は歌っておらず、かわりに唇を結んでまっすぐ西口へ向かって歩いていった。 そうしていれば普通なのに、と思いつつ、俺はバイト先のある東口へと足を進めた。
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