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思わず顔をあげたのは、流れるメロディーが耳に留まったからだった。
真冬の深夜のコンビニには、従業員と俺しかいない。
店内を流れるのは、百万人のために歌われたラブソング。
ある映画の主題歌で、君も俺も、大好きな曲だった。
君は覚えているだろうか。
あの夏の日の放課後、だれもいない音楽室で歌ったことを。
俺は初めてだれかをきれいだと思ったし、君の歌はなによりも特別で、心からいとおしいと思った。
あの日のことは、忘れようと思っても一生できないと、君に誓えるよ。
だからこそ、思い出す度に苦しくもなるんだ。
光り輝く時はもう戻らないし、あの歌は……。
それから続く俺と君との、悲しい調べでもあったから。
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