- 第1章 ―

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 長い黒髪を後ろで束ね、銀縁眼鏡を掛けた〝秀才タイプ〟の知的美人だ。転入生の案内係を任されたなら、本当に優秀なのだろうが………。  理知的な瞳はカラコンなのか黄緑色をしている。とは言え、度入りのカラコンにすればいいだけの話ではないだろうか、とも思う。  まぁ。考え方は、人それぞれなので、それについては追及も言及もするべきではないから、口には出さなかった。 知的美人 「遅れてすみませんでした。貴方が転入生の『玖堂(くどう) 翡翠(ひすい)』君ですね? 私は、高等部生徒会の副会長を務めています『紫峰院(しほういん) (みかど)』と申します。」 翡翠 「?!あ……………はい、よろしく、お願い、します。」  帝が名乗った名前に動揺し、不自然な受け答えになってしまった。けれど、帝は特に気にした風でもなく『では、着いてきてください』と、先に歩き出した。 翡翠 (………今、紫峰院って言ったよな?確か、ノワールの副総長が、紫峰院家の後継ぎじゃなかったっけ?)  〝日本舞踊の大家〟と言われる、所謂名門の家の令息が、族の副総長と言うのも、如何なものだろう。
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