- 第2章 -

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 パソコンの電源を落としリビングに向かい、お湯を沸かし紅茶を淹れた。ソファーに躰を預け目を閉じた。瞼の裏に、鮮明に灼き付いたままの神無の残像。  忘れたくて忘れられない・諦めたくて諦められない。憎らしいほど恋しくて、狂おしいほど愛おしい。    -愛してる、愛してる、愛してる-  心が悲鳴をあげ魂が叫び出しそうなほど、自分は神無に捕らわれたままで………。逢いたくて恋しくて、切なくて。頬を暖かい雫が伝う。 -嵌まって、息も出来ないほどの『溺れるよ  うな恋』をしていた-  暫くして、漸く落ち着いた翡翠。久々に沢山泣いたので、少し頭が痛む。ふらふらとした足取りでバスルームまで行き、頭から熱いシャワーを被るように浴びた。  バスローブを着て、紅茶は飲み干していてしまったので、冷蔵庫から取り出したミニペットボトルのミネラルウォーターを飲む。冷蔵庫に戻してベッドルームに行くと、倒れこむようにベッドに身を投げ出した。  そろそろ夕食の時間だが、作る意欲も食欲もない。かと言って、着替えて食堂に行く気もない。  正直な話。今は何もしたくもないし、考えたくもなかった。
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