- 第3章 -

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 そもそも、御影への編入(今回のこと)を仕組んだ張本人が翡翠の母・マリエルならば、下手に逆らっても無駄である。  事後承諾や、強制執行とて今回が初めてではない。伊達に、あのマリエルの息子を十五年と数ヶ月やっているわけでもない。  大体からして、マリエルのを容認してしまっている瑪瑙や、最終的には許してしまっている翡翠にも多少の責任はあるのだし。 翡翠 (え~い!今さら、四の五の言っても、しょうがないんだよな。腹括るか!)  生徒(ひと)が見ているので、両頬を叩いたり声に出したりはせず、心の中だけで密かに気合いを入れた。 翡翠 (………まずは、職員室だよな。担任の先生って、どんな人かな?いい人だといいよなぁ。)  まぁ。教職に就いている人間には、二通りの人間がいるけれども。一つは、表向きの給料分だけ働く『サラリーマン教師』。もう一つは、教職に誇り・若しくは情熱を持っている本物の『教育者』である。  嘆かわしいことだが、昨今では前者ばかり。取り敢えずの職を得るための『保険』として、教職を取る者が多すぎるのだ。
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