- 第3章 -

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 それに伏見と言うからには、『伏見グループ』の関係者であろう。それならば『家柄』も『容姿』も、生徒達に引けは取らぬ。  媚を売り、大人ばかりではないのだ、と。今まで伏見のような者は、生徒達の周りにはいなかったはずだ。だからこそ、水晶は伏見を必要とし、教員として雇ったのだろう。  まぁ、仮にも伏見グループの関係者が、何故『名門』とは言え一介の教員などをやっているのか、と言う疑問はあるけれど………。 伏見 「まぁ、いいか。お前なら、その見た目でも何とかなるだろ。『家柄』と『学力』は問題ないし、平凡なだけで、不細工ではないしな。」  伏見はどうやら、見た目通りフリーダムな男のようで、オブラートに包むことはしないらしい。知らないのではなく、敢えてのだ。  良くも悪くも正直で、言葉を飾らない。この僅かな時間で、それを感じ取った翡翠は伏見を好ましいと思った。 -教室へ向かう道すがら、ガラス張りの廊下から何の気なしに、外の景色を見る。都心部から離れた郊外にある所為か、意外に緑(自然)に溢れているようだ。
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