- 第3章 -

13/20
前へ
/394ページ
次へ
 そう言えば。緑色は目だけでなく『人に優しい色』だと聞いたことがある。そして、それは本当なのだ、と実感する。  何となくだけれど。何故、水晶が安斎分家の当主でありながら、御影学院の理事長をしているのか、わかった気がした。  水晶は、ここに『安らぎの箱庭』を作ろうとしていたのだ。次代を担うであろう者達が、束の間の自由を謳歌出来るように。〝期待〟や〝重圧〟に押し潰されることがないように、と………。  水晶自身が、不自由を強いられ〝期待〟を〝重荷〟だと感じたことがあるから、なのだろう。安斎分家の当主と言うのは、言うほど恵まれた地位ではない。少なくとも、水晶にとってはそうなのだ。 -御影学院 校舎内 1ーS教室-  思考に耽っている間に教室についたらしい。伏見は、足を止めると翡翠の方を振り返って言った。 伏見 「んじゃ、呼んだら入ってこいよ。」  そう言って、伏見は教室の扉を開け入っていった。次の瞬間、教室中から歓声(?)が聞こえた。 「「きゃああぁぁ、伏見先生ーっ」」 「「素敵ーっ、抱いてくださーいっ」」
/394ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1431人が本棚に入れています
本棚に追加